様々な記録メディアの中で、特に小さくて持ち運びに便利なのがSDメモリーカードです。パソコンやデジカメ、ビデオカメラなどでよく使われ、最近はもっと小さいmicroSDメモリーカードもスマートフォンなどで使われています。
128GBの製品なら、一眼レフカメラで撮った5MB程度の高画質な写真が2万枚以上保存可能です。指に乗るほど小さなSDメモリーカードの中に、どうしてこんなに記録できるのでしょうか。
SDメモリーカードは、NANDフラッシュと呼ばれる、電源が切れても記録が消えない記憶媒体を使用しています。また、カードの中にはNANDフラッシュのほかに、CPUも搭載されています。パソコンでおなじみのCPUですが、それよりも小型で性能も限定されています。外部から入ってきたデータは、まずCPUに送られ、CPUの命令でNANDフラッシュの所定の場所に記録されていきます。
NANDフラッシュは非常に微細に区画割りされていて、1つひとつの区画をセルと呼んでいます。セル1つで1ビット※1を記録するSLC方式と、2ビットを記録するMLC方式がありますが、例えば、128GBを記録できるSLC方式のメモリーカードには、なんと1兆995億1162万7776個ものセルが搭載されている計算です。※2
セルを極小スケールの超高密度で集積しているから、小さくてもたくさんのデータを記録できるんですね。
実話!!
海を越えたSDメモリーカードの物語
SDメモリーカードは小さいだけが特徴ではありません。もう一つの特徴が、耐久圧力・耐水・耐久温度・耐久年数などの頑丈さに優れること。 衣類と一緒に洗濯機で洗濯しても壊れなかったという報告もあります。ただし、注意したいのはきちんと乾かして使うこと。濡れたままのSDメモリーカードをデバイス(電子機器)に入れるとデバイスの故障の原因となり、SDメモリーカード自体も破損する恐れがあります。
2007年に、ハワイの海でなくしたデジカメが、2013年に9600km離れた台湾の海岸で発見され、カメラに入っていたSDメモリーカードから撮影データが取り出されたことがニュースになりました。SDメモリーカードの頑丈さをよく表したエピソードと言えそうです。
